TVシリーズ全話解説![暫定版]
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第一話 『僕のグラデュエーション』

 OPについては大変物議を醸したようですが、よく見ると全て本編の映像堀江由衣プロモ映像から構成されています。そう、これは急場しのぎの未完成版OPだったのです。第三話まではこれなので覚悟して下さい。
 コミカルな演出が痛々しいAパートについては省略。いろいろ伏線も張られていますが無視。とりあえず主人公が高校一年生であること、「そんなバカな」が口癖であること、実は次回以降も(名前が)登場する燦緒(あきお)と皆井の売りが全く足りないこと、謎の少女を演じているのが12人の妹の声優のうちの誰でもない(野川さくら)こと、山田熱演する山口勝平が鬱陶しいこと、氷上恭子以下略)、妹は可憐しか出てこないこと、をチェックしておけば十分。
 Bパートでいよいよ妹の売り。咲耶はやはりオシャレ、お色気(?)で攻めることが判明。咲耶の作画は意外に良くないことが多いので、今のうちに堪能しておいて下さい。花穂はやはりドジっ子をアピール。この時点での花穂が主人公を「お兄ちゃん」と呼んでいることにも注目。実の兄を呼ぶ「お兄ちゃま」と使い分けられている、のかと思いきや「大好きなお兄ちゃん」に花をプレゼントするとも言っており、単なる脚本のミスかもしれない。再び可憐ピアノも披露しており、このアニメ版では確実にメインヒロインの扱いであることを見せつけます。雛子の売りは弱い気もしますが、改めてじゃあ何があるのかと言われると最年少である以外特にない。一応、「ヒナ迷子じゃないもん!」と一人称は使ってます。
 で、再会シーン。「君たち僕の、妹!?」って、それだけ?まさにそんなバカな。なぜ今まで妹のことを知らなかったのかとか、なぜここにいるのかとか、あらためて書くのもバカバカしいほど当然の疑問には一切解答が与えられません。
 そのことはひとまず忘れて、4人にじーっと見られながらカレーを食うシーンはちょっと良かったな、もとい、なぜ第一話で登場するのがこの4人なのかを考えてみましょう。六話でも冒頭に登場するのはこの4人で、どうやら12人の中で特別な扱いを受けているようです。私は人気ベスト5から千影を抜いた4人なのではないかと邪推しているのですが(以下略)。
 ちなみに氷上恭子がこの第一話だけメガネをかけ変な頭巾を被っているのは変装だったらしい。しばらく気づかなかった。

第二話 『お兄ちゃん、大好き!』

(ビデオ行方不明のため保留。カミングスーン)

 一応あらすじだけ書いておきますと、新たに8人の妹天から降ってきて一緒に暮らしはじめる話です。あ、これで十分だわ。


第三話 『お兄様といっしょ』

 正攻法(?)で妹12人の出し入れをやってのけた、私お気に入りの一本です。なにせ計算上は1人につき1分でもうAパートが終わってしまう、と書けばその凄さがお分かりでしょうか。
 冒頭の初登校シーンは実はかなり重要な意味を持っています。制服によって各キャラの年齢がある程度推測できるからです。そもそも制服の設定は原作ではキャラ毎に全て別の物がデザインされていたのですが、アニメでは可憐の制服をベースに統一されてしまっています。しかもチェックだったスカートが赤一色になっていてダサイです。これを着せられた春歌こそ哀れでしょう。
 それはそれとして、よく見ると制服は二種類しかないようです。これで小学校・中学校(初等部、中等部)の区別はつきますが、本人のセリフから幼稚園児(!!)であることが判明している雛子は初等部と同じ制服を着ていますし、主人公と同級生、ということは高等部の生徒である可憐も、上着の前は開けていますが中等部の物と同じ。あるいは原作の可憐の制服と同じく、最初から上着が前開きになっているのが高等部の制服かと思いましたが、やはり同じ制服を着ている氷上恭子は前をとめていますからこれもあたりません。着こなしによる差別化でしょう。亞里亞はリボンがイメージカラーであるになっており、はリボンなし、など多少のアレンジはあり、……制服にこだわりすぎたようです。とにかく、雛子幼稚園。あるいは亞里亞も。花穂初等部、残る咲耶千影白雪鈴凛鞠絵春歌四葉中等部で、可憐高等部ということになります。それにしても主人公の後を12人がついて来る登校シーンは圧巻。ちなみに千影もいます。
 さて、教室では可憐同級生であることが判明。メインヒロインならではの大技です。でも飛び級っても、可憐って別に成績が良いという設定はなかったはず。いわゆる正統派ヒロインのお約束を無自覚に引きずっているようでちょっと気になります。出番を増やすためだと言われればそれまでですが。
 そしていよいよ怒濤の妹攻勢シークエンスの始まり。まず花穂はいきなりチア部のユニフォームで強烈アピール。もちろんコケます。このシーンは全編屈指の見事なコケっぷり。必見です。足を上げようとした瞬間、2コマで後ろにひっくり返ってます。実はコケた直後の仕草もイイです。もとい、「花穂ドジだけど見捨てないでね」、「お兄ちゃま、ガンバレ〜っ!」と、遺憾なく全てを出し切った観があります。つかみはオッケーです。
 次に白雪お弁当攻勢。独特のメニューは原作、ゲームと同じですが、ゲームでは実は美味いということになっていた料理がここでは完全にゲテモノ扱い。もっとも実際にマズイという描写はないのですが、主人公は食わずにアッサリ逃げます。
 そう、このへんから主人公が実はヒドイ奴であることが徐々に明らかになってきます。まるで明子姉ちゃんのように柱の影から見守る次の春歌に対して主人公は「春歌ちゃん、だっけ?」…いくら12人もいるからって、妹の名前くらい覚えてろよ、と私などは思います。春歌は「兄君さま、ワタクシの名前を…」と一見喜んでるように見えますが、実はショックを受けてるに違いありません。もっとも何故かゲームでも春歌に対しては同様の描写があり、水着を着た春歌が誰だかわからないというギャグすらあったので、これは和服を着てない春歌が識別できなかったのだという説もあります。とにかく、実はアクション性の強いボケキャラである春歌は、いきなり主人公に覆い被さって倒れるという大味な攻め。かなりオイシイ展開のはずなんですが、春歌がやるとなぜかギャグになってしまいます。主人公に置き去りにされた春歌は実にいいを作ってオチをつけていますが、やっぱりひどい奴だ、主人公。
 次に、逃走する主人公に併走してくる。「グラウンド一周、競争しよう!ヨーイ、ドン!」で走り去ってそれっきり。あまりにも投げやりな演出です。速攻で逃げる主人公もあんまりですが。
 続いて四葉。ここでの四葉と主人公の会話は、「チェキー!兄チャマ、チェキ、チェキ、チェキよーっ!」「四葉ちゃん、一体なにが、チェキなの!?」「なんでもチェキ!」…以上、全く意味不明です。しかし、これでいいのです。無意味に飛び跳ねるアクションと相まってインパクトは十分。
 次、フェンス際に追いつめられた主人公を待ち伏せるのは鞠絵。兄を迎えようとした鞠絵は貧血でブッ倒れる、これしかないという展開。主人公に横抱きにされて保健室へ運ばれるあたり意外と優遇されてます。喜べ鞠絵ファン。
 そろそろ疲れましたがあと2人。鈴凛メカ鈴凛資金援助ネタで安定。「愛してるよ〜」とか言ってます。で、トリは咲耶。原作ともゲームとも微妙に違う咲耶ですが、オッケーです。いきなり「お兄様と私は、離れられない運命なのよ〜」と切り札のセリフを繰り出します。珍しく主人公のリアクションもいい。
 以上、昼休みに登場する妹は8人可憐で9人。雛子亞里亞と一緒に下校で11人。怒濤の昼休みとは対照的に、下校シーンはいい感じのダレ場になってます。構成も悪くないんじゃないの?とか思っていると、最後の千影は自宅の前で登場。ここでのセリフも脚本家が全く頭を使ってない感じで非常に投げやりです。なんとかしろよ。
 振り向くと再び妹全員集合。鈴凛の「アニキはご飯とパンどっち好き?」というセリフがラップみたいにBGMとバッチリ合ってるのはなんなんでしょう。気になる。で、夜になったところでAパート終了。こうしてみると意外と締まった構成です。ここまでは。
 で、島を脱出しようとする主人公。疲れるのはわかりますが、なぜそんなにイヤなのか納得できません。この番組が好きで観てる連中は感情移入できないに決まってるじゃん。どうしてこんな主人公にしたんでしょうか。
 そして、渾身の長ゼリフを読んだ可憐に後ろから抱きつかれた主人公が吐いたこの回最大の問題のセリフは、「そんな……、行き止まりかよ」。このセリフが象徴するもの云々はさておいても、この状況で可憐を完全無視するってどういうことよ?泣きながら去る可憐には目もくれず、デジカメで撮った写真をプレビューしながらのモノローグで「僕は、みんなのことよく知らないんだよね」という結論に達するんですが、何なんですかこの演出は。もう何がどうなってるのか理解できません。しかもちゃっかり可憐の肩を抱いて帰ってるし。
 その次の、兄の帰りを待つシークエンスでも妹全員に見せ場&セリフが用意されているのにも注目。わりと丁寧に作ってるでしょ?千影も縦パンの全身カットがあるし、締めのセリフをまかされてる分、他のエピソードよりはマシな扱いです。
 ところで、Bパートは可憐の独壇場なのにサブタイトルはなぜ『お兄様といっしょ』なんでしょうか。最初は全13話だとばかり思ってたし、第一話が『の〜』で第二話が『お兄ちゃん、〜』、第三話が『お兄様と〜』と来たのでははぁんそういうことかと思ってたら第四話は『くまさんどこ?』だし。なんでやねん!!

番外 新オープニングについて

 第四話からオープニングが新バージョン(完成版?)になります。たぶん、絵が放映に間に合わなかったのがやっと上がってきたということなんでしょうけど、遅らせたわりには作画のクオリティは低いです。ありていに言って本編以下です。だいたい一キャラにつき1カットで、しかもほとんど動きはないにもかかわらずこの出来はどうなんでしょう。これでは堀江由衣の映像に苦情が殺到したため急遽作ったなどと邪推されてもしかたないですね。とりあえずその堀江由衣消え失せました。
 それにしても絵がヒドイ。私見ですが一番ひどい絵が千影どアップであるという事実に強い憤りを覚えます。まあ、ただでさえ正面顔のアップってアラが目立ちやすいんでしょうね。
 それでも、このOPで私が一ヶ所だけ気に入っているのは、タイトルロールの直後、可憐が空に両手を差し伸べるところです。まず可憐の上半身、それから可憐の視点、そして横からのカットで他の妹たちの手が一斉に入ってくるとこ。これが大好きです。もうこれだけで他は全て許せる。なんかガンダムのOPでいうと「♪きみよ〜〜つかめ〜〜」ってあたりでブライトが手かざすとこみたいで。ちなみに咲耶花穂他二名の手が確認できます。
 しかもここ、アップになったがやたらしっかり描いてある。その直前の可憐の髪のなびき方なんてまるでコマ送りみたいなのに。ってのも描くの難しいと思いますが、最初から覚悟決めてちゃんと描いてますね。絵コンテ切った人も「そこが一番描きたかったんじゃ〜」という感じでしょうか。
 ちなみに第七話からマイナーチェンジし、最後可憐が手を広げて迫ってくるカットが描き直しになってますが、出来はイマイチつーかたぶん第五話を担当した違う絵の人が描いてます。そんなとこより千影を描き直せっつーの。あと山田と氷上恭子の回転する速度が速くなってる(笑)気がする。どうでもいいですが。

第四話 『くまさんどこ?』

 完全に雛子のエピソードです。
 冒頭の千影占いシーン、おお、作画気合入ってるじゃねえかと思わされますが、バンクです。この先の話はおろか、この回ですら何度も繰り返し見せられます。ブライトの「弾幕薄いよ!」だと思って下さい。いつも同じ絵。つーか千影こればっか
 つーか、最初に書いときますが今回は基本的に雛子以外の作画は最悪です。覚悟しといてね。でも逆に言えばとにかく話のメインである雛子のみに全力を傾注して他を顧みない庵野秀明ばりの一点豪華主義は潔くて結構だと思います。
 というわけで冒頭見られるのは雛子のシーンまで。主人公はどうでもいいとして、突然登場する四葉にまず驚かされます。誰これ?ここでもなるべく各キャラに出番を作ろうという意図は買えるのですが、実際には作画の酷さのせいで全くの徒労に終わっています。ここで唯一注目すべきは亞里亞。動きがないだけにさすがにちゃんと描いてあり、さらに「……くすん」で○○○○ぶりを遺憾なく発揮して存在をアピール。主人公のリアクションもベタベタですがこれがいい。他に見るべき点はないですが、鈴凛普段着でしかもゴーグルもしたまま寝てるのはさすがに気になります。寝間着の設定くらいないのかよ。
 で、雛子がなかなか起きてこない、とか言ってる間に主人公は可憐を押し倒します。このアニメ意外とこういう場面は少ないですが(こんなんばっかりだったらそれこそ観ちゃいられませんが)、やはり可憐特別です。ここでは赤くなってるのは主人公の方だけなのがポイント。
 次に主人公が白雪の料理を頭からかぶるという全く不必要なシークエンス。強いて言えば主人公が再び脱走を決意する直接の原因でしょうか。鞠絵、春歌、白雪の出番をムリヤリ作った意気は買いましょう。このシーンのBGM、ドタバタの雰囲気に合ってないんですが、キッカケとタイミングだけは絵にバッチリ合ってます。なんなんですか音響監督の千葉繁さん。
 そして雛子の失踪を発見する場面での花穂コケ。そのタイミングの唐突さ、独特の効果音、さらに「またやっちゃった」というセリフの相乗効果で、最初に観たときは何が起きたのかわかりませんでした。こう書いてきてみると、本題に入る前にも見どころがけっこうありますね(笑)。
 で、なぜか雛子を探す羽目になる主人公。「様子がおかしいの!」に対して「花穂ちゃんの?」(中略)「先を越された」など、何気なく問題発言をしています。それにしても泣かれると弱い主人公だ。まあ当然か。
 さて本題といっても個人的に雛子には思い入れがないのであまり書くことがない。特筆すべきは「じゃあヒナにア〜ンして」くらいでしょうか。むしろ注目は花穂。つい秘密を喋ってしまうというシチュエーションはドジっ子的にはオイシイのですが、「花穂絶対にしゃべらないもん!」って、ドジにもほどがあるというか、すでにドジの域を完全に超えてます。あからさまに様子がおかしい花穂を咲耶可憐もあまり不審に思っていないのは、花穂いつもこんな調子なのか?兄のことを訊かれてつい喋ってしまうというのはまあセオリー通り。あわてて「え!?」と口を押さえる花穂が一瞬地声(?)になるのに注目。
 一方、雛子は「疲れた」と拗ねる、一生懸命な兄を見て感銘を受ける、おんぶされて帰りながら「おにいたまがいれば何もいらない」と、多少分別がありすぎるようですが定石通りの展開。
 あとはオチはまあともかくとして、帰宅後、秘密をバラしたことを謝る花穂の頭を撫でる主人公。子供扱いですねぇ。そして最後に登場する四葉。キャラも立ってるし、便利なキャラでもあるので出番には困らないようです。デカい箱に上半身突っ込んで足をバタバタさせてるとこなんか、けっこう目配りが効いてるじゃないかと思ってしまいました。あたりまえ?このへんは作画もまあまあです。で、最後は窓から千影様による締め。「今日は兄くんの日だな…」つーかもっと他のキャラと絡ませろよ。
 しかし雛子のこと全然書いてないな(笑)。

第五話 『アニキとメール\(∧◇∧)/』

 鈴凛の話、といっていいのかどうか、彼女がメインなのは発端部だけだったりします。鈴凛も便利に使われるタイプのキャラですね。
 この回の作画はある意味で安定してはいるのですが、クオリティが低いという以前に(いや、低いんだけど)、キャラデザとは全く異質な絵柄になってます。総合評価でいうと全話中最低かも。今のところ。
 ご存じの通り、妹たちとメールのやりとりをするというモチーフは原作からですが、すでに同居しているのではほとんど意味がないですね。そのため妹に隠れて別の女とメール交換する主人公、そしてそれに嫉妬する妹という話になってますが、これって実はシスプリ的には最大のタブーなんじゃないの?オチがどうかは関係なしに、話自体がさ。
 ともかく、兄の秘密とくればこれを暴こうとするのは当然四葉。やはり便利なキャラです。教室のシーンでは氷上恭子が主人公を「あんちゃん」と呼んでいることに注意。どうやらこういう設定らしいのですが、呼ぶのはこれがはじめて。売りが足りないっつーの。どうでもいいけど。
 そんなことより本当に要チェックなのは、教室に千影が姿を現すこと。学校に登場する超レアなシーンです。つーかここだけ。「兄くん、その女には気をつけた方がいい…」って、わざわざ教室まで来るくらいだから実は千影も相当気になってジェラシー感じてるんだろうなぁと妄想して下さい。作画は最低ですが。しかし、「山田さん、お兄ちゃんの相談にのって下さい。」と、山田を利用する可憐が実は最も狡猾。妹って恐ろしい。…ほんとにどうでもいいことばっか書いてるな。
 で、鈴凛のモバイル11台が完成。妹たちから12件のメールが続々と届くシーンは普通に笑えるところなんですが、なぜかキレる主人公。「ごめん!勘弁してくれよ!……あ、いや…」とキレ方も実に中途半端です。そのくせ「一緒に住んでいるんだから、何もいちいちメールを出すことないじゃないか!」と、言うことは全く身も蓋もない。「だって…」と言いかける可憐の後を引き取って「一緒に住んでいるあたしたちより、メールの人の方ばっか見てるんだもん」と妹代表のセリフを言うのは鈴凛。やはり今回のメインは彼女でした。
 Bパートに入って、一人で登校する主人公。前日の問題はどうなったのかというと、妹たちは懲りずに全員メールを送ってくるし、今度は普通にそれを読んでほのぼのしている主人公。で、全員に同報メールで返信して和解。そんなお手軽でいいのかよ。まあここでも12人分のメールを披露するだけで時間一杯なわけですが。メール自体にも特に見どころがない。
 うーむ、いまひとつ物足りなかったね。しかし作画ひでえなあ……。

第六話 『お兄ちゃんは王子様▼』

 ↑ホントは末尾にハートマークがついてます。
 アバンタイトル、「がんばって〜」と飛び跳ねる花穂が掲げる(いくらなんでも不自然だと思うんですが)台本のタイトルは、『十二人の優しい姫君(仮題)』。そう、今回は劇中劇だッ!『十二人の〜』ときたらやっぱ12人の妹が全編密室の中で「誰が一番お兄ちゃんにふさわしい妹か?」についてガチンコの議論を繰り広げる話、かとは思いませんでしたが、本来私がシスプリに期待してたのはそういうノリだったのです。12プラス1人(主人公ね)もキャラがいるんだから、他のサブキャラなんぞなしにこれだけのキャストに登場人物としての役割を割り振って、その出し入れでいわば一幕物の芝居みたいに見せるという趣向もアリだったのではないか、と。ってそれじゃ『御先祖様万々歳』だな。奇しくもあれのテーマも「家族愛」であった。閑話休題。
 まず、山田鬱陶しい、もとい、今まで学校以外では物陰から「羨ましい」とか言ってるだけで主人公の家庭(?)での日常からは一応切り離されていたはずの山田が普通に妹たちと絡んでるのに違和感ありありです。なんというデリカシーのない演出。もっとも、第三話の妹総進撃のシークエンスで山田が四葉に声をかけてるシーンがありましたから、実はあのとき主人公の後をついて回って妹全員に声かけてたのかもしれません。見ちゃおれんわ。兄としてなんとかしろよ、主人公。
 で、発端となる回想シーンなんですが、ここで出てくる妹が可憐咲耶花穂雛子の4人。そう、第一話に登場した4人です。なぜにこの4人?ゲームでも回想イベントがあるのがこの4人だけ(?)だったり、なにか裏設定があるのではないかと疑いたくなるくらい特別扱いされてる、ような気がします。その理由の説明にはならないのですが、実はこの4人の共通点に気づきました。ズバリ、兄の呼び方が「お兄〜」で始まること。「お兄ちゃん」、「お兄様」、「お兄ちゃま」、「おにいたま」。ほらね?かつ、該当するキャラは他にはいません。だからどうしたと言われると困るんですが。閑話休題。
 あ、山田は妹たちを徹底的にリサーチしてから脚本を書き上げたと言ってることに今気づきました。その間に仲良くなったんですね。野放しにしとくなっつーの。咲耶のサービスシーン(?)も作画いまいちで萎え。そして主人公に説教する氷上恭子。だからこういう役割をこんなキャラに振るなっての。あんちゃん、あんちゃんと連呼しやがって鬱陶しい。
 そして一気に本番の前夜。ここまで千影が全く姿を見せないことに一抹の不安を覚えます。登場する可憐の衣装が絶妙にダサイのはわざとだよね、たぶん…。雛子赤ずきん、そして亞里亞親指姫ときた時点では正直言ってやられた!と思いました。「二人とも、かわいいよ」などと素面で言っちまった主人公は当然王子様に抜擢されます。衣装の寸法を測るのは四葉。しつこいようですがとことん便利なキャラです。
 さて、次のアドリブ云々のシーンには関係者全員が集合しているはずなのに、千影影も形もありません。と思いきや、各自が練習に励むシーンでは毒リンゴを磨く千影でAパートのヒキ。あまりにもオチバレバレなのはどうかと思いますが、なるほどモチーフとしてはわかる。このへんが、私の期待が最高潮に達した瞬間だったかもしれません。つっても、最初からアドリブ全開ということは劇中劇を真面目に作る気はハナからまるでないわけで、ホントに脚本もアドリブで書いてるかのようです。
 では、難解極まる劇本編を徹底解説してみましょう。まず、可憐白雪姫が登場します。なぜ白雪が白雪姫でないのかという疑問が当然浮かびますが、まあ仕方ないでしょう。ともかく、舞台の袖で出のタイミングを測る可憐、ところが次のカットでは花穂が可憐の前を歩いています。どうやら持ち前のドジで間違えたということらしいです。山田が「白雪姫は二人姉妹だった」とフォローしますが、この時点で台本からは完全に逸脱元凶は完全に花穂なんですね。
 って早くもない筋を追うのがバカらしくなってきたのでやめます。前述の通り、雛子が赤ずきんで亞里亞が親指姫、というところで私は当然妹全員が何らかのおとぎ話のヒロインを演じるという趣向なのだろうと思い、ちょっと、いや、かなり期待してました。ところが、フタを開けてみればこの二人と和装の春歌以外みんな同じ衣装だし。しかもその衣装はあからさまに現実離れしてるのに、(亞里亞がいつもの青いドレスなのはしかたないとして)なんで雛子の赤ずきんは普通の赤いコートなの?いや、それならそれでいいんだけど、どっちかにしろよ。あまりにも中途半端で統一感がない。実際衣装ダサイし。
 可憐花穂、ついでに白雪白雪姫シンデレラというところまではアドリブですが、春歌かぐや姫鈴凛不思議の国のアリス(!)。四葉は「西の国から…」、鞠絵は「森の国から」と紹介されてますがこれは不明。なんだろ?咲耶も紹介なし。最初に親指姫とか渋いとこ突いてくるから期待してバカを見ました。
 えーとそれから、絵は白雪なのに声とセリフがあからさまに可憐というすごいミスが一ヶ所ありました。これは台本が間違ってたわけじゃなくて、絵のない状態でアフレコやって、その後作画の方がどこかで間違えたんでしょう。気づけよ。つーかこりゃないだろ。最悪。
 そもそも、題は『12人の優しい姫君』なのに千影一度も舞台に立たないどころか普段着のままで最初から参加の意志なし。じゃあなにか?12人てのは氷上恭子を入れた人数なのか?(あれは魔女だっつーの)…最後に毒リンゴを投げてオチをつけた千影はなんとなくオイシイところを持っていったように見えますが、そういうキャラじゃねえだろが。そういや幕が下りる時に千影が言ってる「迷いの森、か…」って何か深い意味があるんでしょうか。たぶんないんだろな。一応書いとく。
 というわけで、もはやどうまとめていいかわかりませんが、劇中劇というおいしいネタを使っておいてこのありさまではねえ…。期待した私が悪いんでしょうか。
 あと、ロゴマークをあしらったチョーカーがここで登場しますが、この先なんらかの意味を持ってくることは…たぶんないでしょう。

第七話 『恋する季節』

 咲耶ウェディングドレスネタが早くも炸裂。まだ早くないか?作画の関係上、スケジュール的に余力があるうちにやっとけということでしょうか。
 ウェディングドレス咲耶ですが、塗ったの描き方が(色も)変なのでイマイチですね。単に私の好みですか。そうですか。でもって、主人公の無神経っぷりにさすがにショックを受ける咲耶。咲耶もそういうキャラじゃないんだけどねえ。つーかこの回メインの咲耶があまりクローズアップされてない分、他の各キャラのフォローが多いので展開がタルいですね。良し悪しですが。ダレ場が長い。ちなみにここで氷上恭子婚礼について語るのはもちろん『愛天使伝説ウェディングピーチ』へのオマージュです。今思いつきました。
 さて、私的にこの回最大の衝撃を受けたのは、久々に(はじめてだったりして)千影と主人公の会話が成立し、しかもなんと主人公が千影を「千影ちゃん」と呼んだこと。何が衝撃的なのかわからない人はいいです。ほっといて下さい。ちなみに咲耶のことはまだ呼んでないです。閑話休題、相変わらず他の妹とは全く絡まない千影ですが、今回は主人公の髪の毛をゲット、なぜかそれをしまい込むシーンまであります。普通の人が見たら伏線だと思うぞこれ。
 ってか、この脚本家実は千影のほうが好きと見た。話の内容にそぐわないほど例の占いの回数が無闇に多いし、赤いドレス用意して一人で悦に入り(どうせなら着せやがれ)、あまつさえ「兄くんは、どう思うかな…」なんて少なくともこのシリーズの流れでは千影が言うはずないだろ。主人公との会話でも妙に思わせぶりなセリフ吐いてるし。
 とかなんとか思ってたら、いきなり主人公の手を引いて教会へ連れ出す咲耶。いくらなんでも無茶な急展開です。つーか投げやりです。教会に入った主人公は「あ〜〜〜〜〜!声が響くね」って、無神経さの描写がやけに巧みなのはなんなんでしょうか。「苦手なんだ、咲耶ちゃんのそういうところ」と、とことんノリが悪い。かと思えば「もしも、もしもね…、私が本当の妹じゃなかったら…」「咲耶ちゃん、それ、まさか…」ってまさか何なんだ主人公!!「やっと一緒に暮らせるようになったのに…」と言われても何故いっしょに暮らせなかったのかわからんのでドラマが成立してないのが残念です。もっとB級ラブコメのノリで主人公が照れまくる展開のほうがまだいいと思う私は俗な人間なんでしょうか。
 で、二人が一瞬怪しい雰囲気になりかかった(このへんも釈然としませんが)ところで四葉が登場。口上が美少女怪盗クローバーの口調なのをチェキ!こんな風に使えるキャラもこいつだけですね。さらに他の10人(千影除く)もウェディングドレス姿で一斉に登場。BGMもいい感じだし、第二話8人連続登場シーン以来の衝撃、といっていいはずなんですが、いまひとつ盛り上がりに欠ける気がするのは気のせいでしょうか。私個人がウェディングドレスにあまりそそられないだけなんだろか。結婚式、最初が花穂っていうのも演出の意図がよくわからん。
 うーむ、この話、私の中で消化し切れてないのかもしれんのでまた観直してみます(笑)。

第八話 『いつの日かふたりで』

 鞠絵です。鞠絵キャラ立ってねえとかさんざん言ってた私ですが、大変興味深く鑑賞しました。
 さて鞠絵と言えばメガネ病弱。病弱といってもとりあえず普通に生活しており、全編入院中だったゲーム版とは比べるべくもないです。ただ「ここに来るまでは療養所にいたでしょう?」とは言ってます。妹が過去らしきものを語るのはこれがはじめてですね。じゃあ他の連中はどこで何をしてたんでしょうか。あ、可憐は外国にいたとか言ってたか。
 さて、今回は文学少女という属性がクローズアップされるようです。ほんとベタベタですね。主人公と一緒に本屋に行きたいんだけど言い出せなくて結局のおかげで成り行きで行くことになるところとか、高い棚に手が届かなくて主人公に取ってもらうところとか、「鞠絵ちゃんは、本で世界を飛び回れるんだね」とか、「あれ、顔が赤いけど、熱?」とか、まるで王道パターンだけをつなぎ合わせたかのような展開。
 でもって主人公とのデート。海辺のシーンがそれなりの見どころというか唯一ヒネリの利いた部分でしょうか。貝殻の話は普通に伏線。その後は雨が降ってきて濡れ鼠で帰ってきた鞠絵は熱を出す、という思った通りの展開。
 主人公も鞠絵の手を握り「僕はここにいるよ、ずっと鞠絵ちゃんと一緒に」「このまま鞠絵ちゃんの側にいてあげたいんだ。一緒にいてあげたいんだ。」と珍しくサービス満点です。夜中の寝室のシーンもいい雰囲気じゃん。
 ところが次のシーンではいきなり病状が悪化。BGMの切り替わりも唐突で、急展開について行けません。まあそれはともかく、主人公は「なにか僕にできることは…」と大雨の中必死になって貝殻を探します…といいたいところですが犬のミカエルが取って来るあたりが薄手です。「鞠絵ちゃん、元気になったら僕と海へ行こう。だから…」と、いつもとは別人のように積極的な主人公。いや、主人公としては本来これが普通なんですが。
 で、夜が明けて熱のひいた鞠絵が目を覚ますと、ベッドの傍らには看病疲れで眠ってしまった主人公、と最後までお約束通りの展開。もちろん今度は主人公が風邪で寝込みます。「そういえば、じいやと二人暮らしの頃は…」とか言ってますが、こいつの過去も謎ですな。つい過去を語らせてしまうのはこの脚本家のクセなんでしょう。
 それにしても、良くも悪くも普通の話でした。この解説文も短くなりつつあるな、とは自覚しているんですが、毎回それなりにあるはずの他の妹たちの出番も今回は少ないのでツッコミどころがない(笑)。一応、最後の見舞いシーンに注目してみましょう。鞠絵を除く妹が三波に分かれて見舞いに登場します。第一陣可憐咲耶花穂雛子。そう、例の4人です。やっぱりプライオリティが高いでしょ?第二波四葉春歌白雪鈴凛。これはいいとして、最後に亞里亞、そして千影(!!)が登場するのがポイント。千影が普通に登場してセリフを喋ってること自体が珍しいのですが、それ以上に注目すべきは、ちゃんと12人の妹の一人として扱われているという点です。普通にヒロイン扱いされとる。そういえば、この回ではタロット占いも一度もやってない。道理で「普通の話」という印象を受けるわけだ。まるでシスプリじゃないみたいです。山田の出番も最小限に抑えられ、あの鬱陶しい最後のヒキもない(これには全面的に賛成しますが)。というわけで、シスプリ的な演出や毎回のお約束を排することで正統派ラブコメ(?)の雰囲気を獲得したのが今回のエピソードでした(主人公も別人みたいだし。それでも妹が12人いる状況が異常であることに変わりはないですが)。その意味で鞠絵にふさわしい、と言えるかもしれません。作画も、少なくとも鞠絵に関してはまずまずと言っていいでしょう。
 このように、千影に注目して観ることでシスプリがわかってきます。私だって伊達に千影にこだわってるわけじゃないのです。それはウソかも。
 それにしても、最後に山田のアレがないだけで後味が全くちがうなあ。

第九話 『夏がきました』

 です。前回は梅雨で、今回は夏。スタートは現実には4月、劇中でも入学式でどちらも春。半年のシリーズですが季節は現実に合わせるわけでなく、どうやら一年間に対応させるのではないか、と思われます。第三話と第四話の間は二ヶ月経ってたし。
 さて今回からみんな夏服になってますね。チェキ。流しそうめんつうことでちゃんと役割があるのがメカ担当の鈴凛と料理担当の白雪。オシャレ担当(?)の咲耶は衣替え自体をネタに。亞里亞も一応半袖になっとるな。あ、春歌は変わってないわ。そして千影は相変わらず占い…と思いきや今回はオチがついてます。やった。しかも!実は千影も夏服になってることにお気づきでしょうか。占いのシーンも首から下だけ修正してあります。意地でも使い回すつもりかこの絵。服についてもどこがちがうの?と思われるかもしれません。不覚にも私ですら最初に観たときは変わったことに気づかなかったくらいです。制服と季節ごとの服は全キャラに用意されてるんですが、千影のは特にどれもコンセプトが同じなので区別しづらい。具体的にいうとネクタイは同じですが、ブラウスが襟を立てたものから開襟で袖口が広がったものに変更。あとはベスト長いスカートの色が変わり、上着がジャケットから肩掛けタイプに。要するに各パーツがマイナーチェンジしただけで薄着になったわけじゃないです。全然涼しそうじゃないですね。
 しかし驚くのはまだ早い。次の食事シーンでは千影もいる、どころか普通に流しそうめんを食っとるじゃないですか。今までとは明らかに扱いがちがう。待遇改善はいいんですがこれはこれで違和感があるな。
 って、書き忘れてましたが今回は一応メインの話みたいですね。水着を買いに行こうと言い出すシーンではなぜか顔も赤くなってるし、まるで咲耶のサービスシーンみたいな曲がかかってます。しょっぱなから全開だ、と思いきや結局全員で水着を買いにいくことに。このへんから作画がヘタレてるのが残念ですが。
 んでもって買い物シーン。全員が声を揃えて「似合う?」というシーンでは、まさかと思ったら千影まで選んだ水着を前に当てて混じっとる!!衝撃的です。完全にキャラ変わっとるがね。こりゃ今後も目が離せん。
 というわけで山田がウダウダやってるシーンがあってやっとAパートが終了。しかも最後のシーンでは窓から覗く妹たちが思わせぶりにシルエットになってます。となればこちとらはBパートで全員の水着姿が披露されるのを今や遅しと待ってるわけですが、結論から書くと出てきません。Bパートはプールの掃除ビーチバレーをダラダラやってるうちに終わっちゃいます。どうなってるんだ。山田の出番もやたら多く、意図的に時間稼ぎをしてるとしか思えません。水着が出てこないのが不自然ですらある。
 泳げない主人公がに泳ぎを教わる、というプロットはすぐ見えるんですが、期待通りに展開しません。たぶん、の話ではあるけどせっかく水着という目玉もあることだし前後編にしたろ、ということだったんじゃないでしょうか。とはいうものの特に中身が濃いわけでもない一本の話をムリヤリ二本に引き延ばしただけで、今回のBパートは構成的にはカラッポです。今回は全員の水着、で次回は、と割り切ればよかったと思うんですが、何を出し惜しみしてるんでしょうか。
 結局、水着は最後にだけ披露。つーわけで今回は主人公が泳げるようになりたい、と言うところでヒキ。次回に直接続くエピソードははじめてですね。

第十話 『頑張って、あにぃ!』

 千影、衛の笛に合わせて準備体操してるよ…。花穂コケた。主人公情けねぇ…。あと水着。以上。……ダメ?
 冒頭、毎度の乱痴気騒ぎ。他の連中が邪魔だとばかり、「明日は学校のプールでやろ」と密かに主人公を連れ出す。夕食時も内緒話白雪蚊帳の外に置いてますが、コレです。今まで足りなかったものはこの「お兄ちゃん独り占め」感なのですよ。しかもテーブルの下で兄の膝に手を置いて「がんばろうね」だと。夜は夜でパジャマ姿で部屋を訪ねるし、すごいぞ。ゲームでも主人公をして「時々、ドキッとするようなことを言うんだよな…」と言わしめる。まさにそういうキャラです。その衛の前では兄である主人公は全能であるべきはずなんですが、この主人公情けなさすぎ。泳ぎを教わるというプロットがそもそも間違いだったようです。このアニメに期待するのが間違いか。
 次の日曜日も、他の11+1人(しつこいようだが、千影含む)が出かけるのを見送った後、隠れていたかのように姿を現す。特に他の妹に内緒とは言ってないはずなんですが(つーかバレバレだろ)、あくまで密会の雰囲気を演出します。
 で、途中は端折りますが、なかなか進歩せずちょうど挫折しかかっていた主人公は、ある日「用事がある」と言って帰った衛が自分を見放したと勘違いして練習をやめてしまいます。このへん普通の展開。ですが、実は衛が自分のためにゴーグルを買いに行っていたという事実を知って再奮起するのかと思いきや、いじけたまま。なんかチグハグな展開です。
 でもって、もう書くのもイヤなんですが、亞里亞が溺れたと思って咄嗟にプールに飛び込む主人公。走る主人公の動きが変、なんてことはさて措いて、亞里亞を助けるため無我夢中で泳いだら泳げた主人公、というオチかと思ったら違いました。いきなりギャグになったと思ったら、やっぱり泳げた、ってことになったらしい。なんとも中途半端で後味が悪いと感じるのは私だけでしょうか。
 で、締めのツーショットでもは「泳げないってことを、ボクにだけ教えてくれたから」とあくまでも自分一人の優位を意識した発言。こういうキャラの描き方自体はいいのに、基本的な構成及び展開は散漫。不満の残る脚本でありました。
 ともあれ、これで二話消化しちゃったわけで、ここで打ち止めでしょう。お疲れさまでした。
 …この話ももう一回観て、もっと前向きな解釈を施すべきでしょうか。

第十一話 『アニキとシークレットツアー』

 心臓の弱い方は観ないで下さい。ここまで観続けてすっかり慣れっこになっていた私ですら、ショックで死にそうになりました。マジで。ケタが違います。いや、作画がどうこうとかそんな次元じゃないですよ。
 前回のの件も鑑み、サブタイトルから察するに鈴凛メインの話の2本目だとすると、鈴凛と主人公が二人っきりで旅行に行く話かと思ったら全然違いました。鈴凛便利に使われすぎです。今回作ったのはプロトメカ4号だそうですが、3号までがいつどこで登場したのか、もはやチェックする気にもならん。
 本編冒頭、花に水をやる花穂。久々に「花穂ドジだけど見捨てないでね」の決めゼリフが聞けます。いわば総集編的に各キャラのおさらいをするつもりなのかと思ったら、花穂だけ。これも脚本家が好きだっただけなのかな。
 でもって、タイムボカンにでも出てきそうな潜水艇(?)が登場。「これ、鈴凛ちゃんが作ったの?」「そんなバカな!いくらなんでも…」と言ってますが、メカ鈴凛の方がよっぽど驚きに値するだろ。…しかし、そんな些末事にツッコミを入れるのが虚しくなるような異常事態がこの後我々を待っています。
 Bパートは甲板で昼寝していた主人公が春歌膝枕で目を覚まして以下略。とにかく問題のシーンは、鈴凛のサービスシーン(?)が終わったあたりから。鈴凛が「そろそろ潜るよ〜?」と叫んだかと思うと、ホントに潜水を開始。と思ったらもう「海、荒れてきたみたいだよ?」と早くも不穏な予感、どころか次のカットではすでに大荒れ。とにかくこちらに考える余裕を与えません。総員、座席に身体を固定して泣き叫んでます。もろ緊急事態じゃねえか。「今、鈴凛ちゃんが…」とフォローする主人公に当の鈴凛が「ハンドル、取れちゃった…」このへんで観ているこっちの頭も完全にパニック状態なんですが、自失している間もなく外板が破れて浸水し、警告灯が点滅。浸水箇所を手で押さえて防ぐ主人公に声援を送る妹たち。その努力も空しくあちこちから浸水が始まると、今度は妹も全員協力してこれを防ぎます。この異常な状況下で「楽しい思い出、いっぱい作るんだもの!」とあくまでポジティブな妹たちの顔には笑顔すら浮かんでいます。そしてバックに流れる主題歌のインスト。このシーン、観るたびに気が狂いそうになります
 暗転。一人で目覚める主人公。ひょっとしてナディア南の島編が始まるのかと思ったらホントに始まりました。「そうだ、僕たちは遭難したんだ。」
 燦緒へ。こんな脚本を書く奴は絶対正気じゃないと私は思います。

第十二話 『バカンスはラブよ』

 さて、前回のヒキから一体どう続くものかと、おそるおそる観たのですが、いいですよ!とても前後編とは思えないほど前回とは何もかもが違う(実は前回と同じ脚本家なんですけどね。どうなってるんだ)。安心して観られます。いや、前回が酷かった反動でそう見えるのでないことは、実際に観れば納得していただけるはず。
 冒頭、主人公と氷上恭子のシーン、ムダに作画がまともだと思ってたら全編この調子を維持します。信じられん。座礁した潜水艇へ向かった主人公はウニを踏んだショックで足がつって溺れます。薄れゆく意識の中、ウニから(?)千影の声が。てな感じで妹達はあっさり復活します。いいんじゃない?千影活躍(?)するし。微妙にエロいし。
 あと。カーテンの生地を使って作ったという即席の服ですが、これもイイ第六話の芝居のダサイ衣装と同じ作品とはとても思えん。ちゃんと全員デザインが違うのもこれまでのシスプリからして考えられないことです。微妙に露出度が高いのもお約束。
 無人島に漂着したと思ったら実は…というプロット自体はともかく、話はテンポ良く進むし、どうでもいいシーンにも演出の目配りが利いてる。キャラの役割分担も的確です。例えば咲耶が海に飛び込むシーンで、慌てて「咲耶ちゃん、ブラ取れてるよ!」と指摘するのは。これも実に正しい。他の連中は笑ってるだけです。バナナボートに乗る雛子亞里亞のシーンも主人公なしでちゃんとオチてる。自分らだけでギャグが完結するようになればこのコンビも一人前ですな。
 でもって夜。全員ザコ寝してるのも衝撃的ですが、ここでは咲耶見せます添い寝。そりゃヤバイだろ。ただみんな髪を下ろしてないのが残念。
 Aパートは咲耶で引いておいて、Bパートは砂浜で千影のシーン。このへんのバランスも、シスプリとは思えないほど的確です。千影の台詞も禅問答のようではありますがいつもに比べたらずいぶんとまともな会話になってます。「私と兄くんが決して離れられない運命である」とか言ってるし。それじゃ咲耶だよ。願わくは作画もうちょっと気合入れてほしかった。ここんとこすっかり普通の変なキャラになってた千影ですが、今回は本当の意味で話を支配するポジションにいます。たぶんシリーズ前半でやりたかったのもこれだったんでしょう。
 そして翌日。オチはまた花穂ドジですか。なんでもそれかい。夕方、浜辺のシーンでは鞠絵第八話が伏線として効いてるわけです。珍しいですね。この話自体のオチはもう見えてるわけですが、「実は僕もずっと昔、こんな風に夏を過ごしたような気がするんだよ。(中略)そして、僕の隣で微笑む女の子」てところでおや?と思わされます。これはちょっと深い伏線ではないか。主人公がこんな口説き文句吐くわけないしね。こんなのもはじめてだ。結局このシーンにもいつものオチがつきますが、テンポがよいので快いです。そして夜は花火。ちゃんとお約束イベントを消化します。花火を買ってくる千影つーのもなんかシュールでいいなぁ。ローソク持ってるし。
 でもって、お馴染みのロクでもないオチがついて、本編終了のアイキャッチが入った後でエピローグ。ちゃんと二重構造を示すという味なマネをしやがります。「じいや」の登場は実に第一話以来(笑)。あの帽子の売りも演出が真っ当すぎてまるでシスプリじゃないみたいです。シリーズ全体の伏線らしきものがはじめて見えるわけですが、もう次で半分だもんねぇ…。感無量。


第十三話 『お兄ちゃんとの夏』

 実はこの回から監督が代わってたらしい。
 というわけで折り返し地点である今回は総集編。シリーズ構成としては無難なんですが、地のシーンがやけによく描けてる、つーか回想シーンの方が作画ヘタレてます。こういう話こそ力を抜いて、過去のマシな絵をつないでゴマかして力を温存しとくべきとこでしょうが。それが監督の仕事でしょ。いや、今後ずっとこのクオリティを維持できるんなら文句は言わんが。
 つーか絵が良すぎて不安になります。
 妹の宿題を手伝ってあげる話、って実はおいしいネタかもね。主人公は一応秀才らしいし。主人公のモノローグで各妹が語られるのですが、脚本的にはあまり面白味がなかったのが残念。こっちも書くことないので撫で斬りにいきます。
 つーかのっけから咲耶。あいかわらずのパターンですが、今回は絵的に迫力不足なのが残念。せっかく作画いいのに…。雛子に関しては言うことなし。次の白雪、料理に気を取られて勉強に集中できない、つーのはいいとして、演出がヘボいのが敗因ですね。こんなテンション低い白雪なんてどうしようもない。鞠絵も書くことねえ…。いや別に嫌いじゃないんですってば。一応、貝殻というキーアイテムを引っ張ってるのが強みといえば強みか。春歌。個人的にはナギナタより弓のほうがイイなぁ。ハチマキ胸当手甲というオプション装備のせいでしょうか。このところボケがないのが淋しいですが。四葉寝てる、ってのはオッケーだと思います。普段暴れすぎだからな。演出はメリハリだといいますが、うむ、これは正解。もサービス全開。意外との演出は良いんだよね、いつも。
 Bパート。花穂。最近失速著しいです。コケないし。ドジっつーよりアホになっとる。次、鈴凛。声優の演技が一番変化してるのがこの鈴凛ではないでしょうか。だんだん声がカン高くなってる。初期のほうが良かったな。で、千影。遂に主人公が千影お部屋訪問、かと思いきや違った。「千影ちゃんて、不思議な女の子だよなぁ」っていまさらしみじみと言われてもねぇ。結局、会話らしい会話もない。宿題手伝ったんだろか。つーかこの回も千影だけ作画がイマイチな気がするのは私の僻目ではないと思うんですが。さて亞里亞。「亞里亞ちゃんて、不思議な子だよなぁ」って、直前の千影と思い切りかぶっとるぞ!せめて順番考えろよ。最後の可憐は本人が出ない。なんで?アバンタイトルにはいたけどさ。
 …こうしてみると、この解説もここらで一度まとめておいてよかったかもね。
 なんか最後が花火って前回と同じなのも気になるし、無駄にCG使ってるし、浴衣着てないし、ポケモンショック起こしそうなほど点滅してるし、なんといっても肝心の締めのシーンなのにこの期に及んで作画が思いっ切りヘタレてる。いっそ見事なまでに力の入れどころが間違ってるのは何故でしょう。
 でもって、実は自分の宿題忘れてたというお約束のオチ。まさかホントにやるとは思いませんでした。あと、寝姿も見逃すな!
 んでもって、最後のカットに例の女の子。ちゃんとオチるのか、すげえ不安になってきます…。
 さて、気を取り直して、次週からは制服夏服だ!

第十四話 『本当のキモチ▼』

 ▼はハートの代用です。
 やったーOPが変わった!と思ったらそうでもなかった。新たに描かれた部分はほとんど止め絵なんですね。巧くごまかしてはいますけど。どうしてOPが私の満足いく物にならないのかというと、キャラデザの人の絵が下手だからだという結論に達しました。最初のカットは大好きです。
 さて、新監督の真価が問われる、2クール目の始まりです。とりあえず作画はヤバイ感じですが、もっと酷いときはいくらでもあったしな。
 夏の制服わりと期待してたんですが、着てるの雛子咲耶可憐鞠絵亞里亞の5人だけなのね。誰とは言わないが他のキャラも見たかった(あ、よく見たら春歌も着てた)。しかも次回からはもう冬服に戻ってたりする…。
 さて、書くことないんですよね。強いて言うならば、2クール目からは一話一キャラの方針が徹底してるようですが、これは元々のシリーズ構成がそうなっていたのか、監督が代わったためなのか、興味深いところではあります。OPのあとの提供カットはその回の、EDのあとのは次の回のメインキャラの絵になりました、なんてことも一応書いておこう。
 可憐ってメインヒロインというと聞こえはいいんだけどその実キャラ立ちがない分、直球勝負でイタイです。危惧してた通りただの出来損ないC級ラブコメになっちゃってる。
 そもそも致命的なのは、「今までいることも知らなかった妹といきなり同居」という設定そのものです。原作の「今は別々に暮らしてるけどもともと妹」という点を踏まえていないのが決定的な違いで、体験的には兄妹でも何でもないわけです。主人公の「何か僕にしてあげられることは」という発想自体、兄妹の何たるかがまるでわかってない。それを逆手に取った面白さというのもありうるでしょうけど、どう好意的に解釈してもそういうものが成立している様子はない。ほんとにただのラブコメなんですね。前の監督はとにかくエキセントリックで、他の部分でいろいろ楽しみようもあったんですが、これただつまんないだけなんだもん。
 それにしても、新監督の伊灘郁志って演出上がりではないようですが、一体どこから現れ出たんでしょうか。

第十五話 『亞里亞のおリボン』

 この回だけセラフィムコールなので注意。
 芸術の秋、つーことで写生の宿題が出た、というのが話の枕。毎回、話の横軸として学校行事とか季節ネタを持ってきてますが、特に今回は全く話に絡んできません。とにかく亞里亞の話です。
 ほんとに書くことないです。もう、こういう妄想ネタを安易に、っつーか主題も動機もなにもなしに機械的に一本の話にしてしまう感覚というのはどういうものなのでしょうか。能力以前に作り手のやる気を疑います。不条理モノにもなってないし、ほんと最悪。
 最後、木の精(?)が消えるシーンひとつとっても、ファインダーを覗く主人公には見えない彼が亞里亞には見えている、くらいのことはやるのかと思ったら(それも陳腐ですが)、なんと彼が吸い込まれるように消えるところをそのまま映像化しちゃってます。視点も世界観もクソもない。何も考えてねえなホント。
 この回、唯一注目すべきシーンは、主人公が思わず妹達と遊んでしまった、というシーン。千影が「兄くん、これで全員捕まったようだね」ってお前もやってたんか鬼ごっこ!!
 うーん、とりあえずそれだけ。

第十六話 『花穂、がんばっちゃう!』

 運動会。作画はわりと良いです。
 でもって、メインは花穂。うーむ、運動会自体おいしいネタなんだけど、Aパートを花穂で引っ張ってるため食い足りないのが残念。いや、花穂はわりと好きだし、もっとコケまくる話だったら私も納得したんですが。文字通り「がんばっちゃう」話で、なんか普通すぎるんですよね。わざわざ待ち伏せて二人で下校するなど、この回は主人公もなかなかやってくれます。
 花穂の定番イベント、買い食いをフォローしてるのは評価できるんですが、寝ながら応援ってのはさすがにどうかと思います。萎え。
 「〜なんだぁ」「〜なのぉ」といった花穂独特の口調が再現されてないのも残念。テキストだとわかりづらいですが、ゲームではよくフォローしてたんですけどねぇ。それが脚本家の仕事だろうに。
 で、運動会はわりと唐突に始まります。体操服スパッツです。
 本来、運動といえば独壇場のはずのですが、金メダルを8個獲得したことが申し訳程度に描かれるだけ。もうすでに2話分やっちゃいましたからね。勿体ない。次に玉入れに出場する雛子亞里亞。つーことはこの二人、同じ学年だったのか!?と、いまだ年齢の分析に余念のない私ですが、全く関係ないことがすぐ明らかになります。主人公は春歌と、可憐咲耶も同じ種目に出場してるし。でも二人三脚借り物競走って陸上競技っつーよりはイロモノ種目だから、違う学年で組んでもおかしくないのかな?などと考えてみてもしかたないですな。
 咲耶実況やってるってのも萎えです。どう考えても放送委員って柄じゃないだろ。こういうキャラクターを無視した使い方って嫌いなのよね。デリカシーのない。
 あと、千影が出場した謎の種目ですが、何なのこれ?私はまた間違えてコンテでオチを切っちゃったのかと思いました。これってアリなんでしょうか。こういう投げっぱなしな演出が多いなこの監督。今回、氷上恭子に来たメールのシーンもオチがなかったし。
 つーか、ここまでで書いたキャラ以外、運動会では何もしてないという、かなり不公平の目立つ構成です。今までは結構そのへん気を遣ってたんですけどね。
 最後は花穂が遂にコケた挙げ句、「花穂ドジだけど見捨てないでね」と、思いきりお約束で締めでした。
 そうそう、主人公が妹とメシを食ってるのを、例によって物陰から見守る山田の「羨ましい」というセリフに対して、今回は遂に「毎日毎日、アンタそればっかりねぇ」と氷上恭子のツッコミ。新監督の視点らしきものが感じられます。ホントかよ。

第十七話 『おキューですわ…ポッ▼』

 春歌です。うーむ、完膚なきまでに普通のラブコメだ。絵もよく描けてます。よかったね。
 原作でも、このシリーズ前半でも割と強調されていた設定がナギナタなんですが、後半に入ってからなぜかに変わっちゃいました。おおかた新監督の趣味なんでしょう。私もどっちかっつーとこっちの方が好きですが、原作通りやってほしかったかな。
 春歌の髪に留まった秋茜とか、風情があっていいですねぇ。亞里亞がタマゴ割れないってのもOK。このくらいにしとけって。
 というわけでこの回の春歌普通にかわいいんですが、シチュエーションも原作・ゲームからの比較的忠実な引用が多いにも関わらず、実は決定的な何かが抜け落ちて違うキャラになっちゃってます。ズバリ、ボケです。第三話で見せたようなボケこそが春歌の本領なのです。
 例えば、野犬のイベントにしろ、ゲームでは犬に追っかけられてそのまま走り去った春歌に主人公が「何やってんだ、あの子は?」と言うオチで終わってます。野良犬を追っ払ってみたって、いまいちインパクトに欠けるもんね。
 でもってBパートの立ち上がりはお約束な展開。「って、お灸のことだったのね」こういうのも前半はあまりなかったなぁ、と思うと新旧両監督の持ち味の違いが感じられて面白いかも。
 あと、髪飾りを落としたというあの爺さん、何なんでしょうか。前半戦は箱庭的な世界観を演出するために、余計な登場人物は極力出さない(モブ以外)方針だったはずで、それはそれで間違っていなかったと思うんですが、新監督はこの点も踏襲する気はなさそう。亞里亞アレといい、ジジイ出したってしかたないだろうに。いっそこのキャラもじいやにしちゃって、第四話雛子の話)みたいに全ての状況がじいやのコントロール下にあるという世界にしてしまってもよかったんじゃないか、というかシリーズ全体としては明らかにその方が統一が取れているはずです。結局あの爺さんがダンスホールの支配人だったという取って付けたようなオチになるんならなおさら、最初からじいやにしたほうが自然だったでしょう。
 あと、爺さんが髪飾りを落としたことを他の妹たちに話すシーンが省略されてますが、これはオチを伏せておくためだったんでしょうか。鞠絵との会話ではかなり以前から知り合いだったようなニュアンスだったので、何かもう一捻りあるのかと思ったら肩透かしを喰らいました。単にダンスホールの主人だから知ってただけか。前回といい、どうも必要なシークエンスをコンテ段階でぶった切っちゃったような印象を受ける場面が多い。監督の斬新な演出というべきなんでしょうか。まあ、細かいことはどうでもいいんですけど。
 最後は敢えて洋装春歌ダンス、ってところも、なにか監督の屈折したコダワリみたいなものが感じられて好感が持てます。敢えてこの場面に妹全員を出す必要はなかったとは思いますけどね…。
 まあ、おおむね可、と思えるのはやはり春歌にそれほど思い入れがないからでしょうか。もっとも、これだけ作画がよけりゃ大抵のことは許せるよな。反動でひどく煮崩れてるシーンとかも特になかったし。

第十八話 『…永久の…契りを……』

 もう観ないで下さい。頼む。
 つーか、どうしていつもいつも千影の作画はこうも酷いのでしょうか。事ここに至っては真剣に考えざるを得ません。私は、原画に持ちキャラ制度があるのではないかと考えました。作監も含めて、特に思い入れのあるキャラを志願して担当するとか。 だとしたらその彼に言いたいです。身の程を知れ、と。ここんとこマシな作画が続いてただけにショックでけえよ…。ちなみに作監は飯飼一幸
 まあ、仮にDVDで大幅な作画修正があったとしても、話の内容そのものがクズだから評価が上がる見込みが全くないのが、却って幸いかもしれません。諦めもつこうってもんですからね。
 さて本編。のっけから宙を相手に会話する千影真っ向から描ききりました。あのー、それは電波系少女の演出でしょ?ゲームでも、そこまでは踏み込まないギリギリの線に留まっていたはずなのに、致命的な一線をアッサリ越えてのけました。見えない相手に向かって喋ってるところを実際に映像化されると、さすがにインパクトありすぎ。
 主人公は主人公で「千影ちゃん、またやってる」と言いつつほのぼのしてるし、あまつさえそんな千影に自分から一次的接触を計ります。 「また、姿の見えない人と話をしてたんだね。どんな人だったの?」って、素で相手すんなよ!!よってたかって完全キチガイ扱いじゃねえか!おめえら許さねえ!!
 もとい、幽体離脱した主人公は、唯一その姿が見える千影に拉致されさんざん実験台にされるという展開。このへんが、従来のギャルゲーのイロモノキャラの延長線上で捉えやすい、一般的な千影のイメージでしょうか。でもって闇に呑み込まれたところでAパートの引き。もう好きにしてくれ。
 Bパートはいきなり、いつもと違う千影炸裂!って喜ぶべきなんでしょうが、あまりの作画の崩壊っぷりとついでに衣装デザインのダサさで立ち上がる気力すら失います。なんだよこりゃ。本編冒頭の夢ではゲーム版準拠の服着てたのに、せめてアレで通してくれりゃ…。つーか、このアニメ、シリーズ通じて服のデザインダサすぎ色指定のせいもあるんだろうけど、劇中劇の回といい、ひでえもんだよ。無人島の時のはちょっと好きだけど。
 とにかく、全く世界観らしきものが見えないままこれも投げやりなデザイン死神に襲われる二人。この時点で、作画を度外視しても話自体が亞里亞の回に匹敵するヤバさだ、と私は確信しました。やってらんねえよ全く。
 それからはもう、シリーズ初キス未遂シーンなど、いろんな意味でこれまでのシスプリ観を根底から覆す描写が目白押し。いくらシスプリとはいえ、いきなり永遠の愛を持ち出しちゃった妹は千影が初めてです。あとはせいぜい咲耶ラブよーっとか言ってるくらいのもので至極平穏だった世界をいきなり超越。黒いウェディングドレス姿で永遠の契りを迫る千影はドサクサに紛れてあなたの身体も魂も私一人のものとか言ってるし。
 で、問題はここからです。「私を愛しているのではないの?」と詰問された主人公は迷うことなく千影より妹全員を選択。これでは千影のヒロイン性は全否定されたに等しい。ここは絶対にうやむやのままで済まさなくてはいけない問題のはず(あの芝居のオチを想起せよ!)なのに、アッサリ結論を出してしまうどころか、あまつさえその回のヒロインを否定してのけるとは一体全体どういう神経をしてけつかるんでしょうか。釈明を要求したい。
 あの十字架ペンダントも、例のグッズを意識してるはずですが、よりダサいデザインにクリンナップされてます。あのペンダントだったら俺もこの前ゲットしたばっかりだし、感情移入の度合いもまた違っただろうに、どうしてわざわざ改悪するんでしょう。こんな細かい点まで間違った配慮に満ちているスタッフの心遣いに感謝!(ヤケクソ)
 ちなみに今回の脚本は滝晃一。ゲームのシナリオも書いてた。千影パパ声もやってた○○

第十九話 『愛のお弁当ですのっ』

 白雪ケツ。もとい料理の話です。
 えーと、兄貴が白雪エプロンの前ポケットに手を突っ込んでまさぐります。そして喘ぐ白雪
 断っておきますが、私は見たままの事実を書いています。

第二十話 『Christmas Love Desginy』

 クリスマス。咲耶の話かと思ったらそうでもない。作画はヤバめ。
 全員で合唱します。入りのソロパートを歌うのは亞里亞。これは12人の中で一番歌がうまいのが亞里亞役の水樹奈々だからでもありますが、キャラコレにも歌のレッスンを受けていて声域が広いという描写があったので亞里亞自身歌がうまいという設定なのかもしれません。その設定自体が水樹奈々に当て書きされたものとも考えられますけど。
 氷上恭子も(絵だけでなく実際に)一緒に歌ってます。てことはサントラ盤にはそのまま入るんでしょうか。イヤですね。つーか、すでに発売中のサントラ盤『Angel Jukebox』にこの歌は収録されてません。つーことはもう一枚サントラが出るのか?勘弁して下さい。どうせ出るならせっかくだから「♪ぱやっぱっぱっぱ〜」の白雪ハミングバージョンも収録してほしいな。

第二十一話 『アニキに me two \(∧0∧)/〜▽』

 原作準拠メカ鈴凛が登場。恐ろしく胸が平らでした。明らかに鈴凛より…いや、実はアレが鈴凛の本当の(以下略)。
 サブタイトルに顔文字って実は快挙なのでは。それとも今時あたりまえなんでしょうか。最近他のアニメ観てないからわからん。
 (実は第五話のサブタイトルにも付いてた。鈴凛に顔文字は付き物なのか?)

第二十二話 『兄チャマ、チェキデス▼』

 前回からなんだが、なぜ四葉、髪を下ろしているのか。いや、イイんだけど、個人的にそういうことはもっとシチュエーションを重視してやってほしいので。何の理由もなくやられると魅力半減つーか。
 そして久々に正統派ドジ花穂ちゃん大パニック!絵もヘタレて大パニック!でもホントは氷上恭子の仕業というのがちょっと笑えないというか、こういうキャラに重要な役割振ってほしくないのデス。もとい、です。
 そして美少女怪盗クローバーの登場。これも原作と衣装が変わっててダサイ。ああ惜しい哉。でも壊したオルゴールを修理に出す間クローバーが盗んだことにするというプロットは珍しくちゃんとヒネリが利いててお見事。
 クローバーもなぜかニセ外人口調になっとる。ゲームでも初登場時にはあんな感じだったっけ。でもあれは変装の一環であってまだクローバーというキャラクターではなかったと思うのだが。亞里亞口調と同じくアニメ版独特の演出。正直これも悪くないと思いマシタ。もとい、ました。
 いかん、不覚にも語ってしまった。
 やっぱりこの話、オルゴールは花穂が壊したことにしたほうがスッキリする気がするのだが。つーか氷上恭子の「すまん!」にはちょっとビビった。
 そして山田がこれほどウザイと感じたのも初めてでした。
 (以上、リアルタイムで観ながら書き流すという初の試み)

第二十三話 『はじめてのお客様』

 えーと、何から書きましょうか。とりあえず絵はヘタレ。
 まあ前回のラストで予想はできてたはずなんですが、こうまでキレイに伏線が活きてくるとなんか違和感がありますね。いきなり本筋(?)に戻られると、ここまで延々とやってきた無駄なエピソードの数々は一体何だったのだろうかと考えさせられます。燦緒が実は中学三年の三学期に転校してきたという事実が今頃になって初めて明かされるなど、あいかわらずいい加減な部分も多いですが。てゆーかこいつらビクトリー塾の友達じゃなかったっけ?
 「兄ちゃんモテモテだねぇ〜」「羨ましいかぎりだ〜あ」と言ってる例の2人組がなぜか3人に増えてるとか、細かい部分がなんか気になりました。せっかくここまでずっとマメにコンビで売ってきたのに、ここで変えちゃ意味ないじゃん。
 遊園地のシーンでも、お化け屋敷を見た瞬間「たぶん怖がるのは可憐あたりで、でもってオチは千影なんだろうなぁ」と実に的確に予想してしまった自分が怖いです。
 閑話休題、一体氷上恭子燦緒にどんな弱みを握られているのだろうかとワクワクしながら観てたら、なんと実の兄妹であることが判明。それは思いつかなかった。これで二組の兄妹という構図が成立したわけで、一本取られたねこいつは。みんなの前で「眞深ちゃん」と呼ばれてドキドキする氷上恭子みたいな演出があったらなおよかったのだが。
 それにしても一体何歳なんだお前らは。そもそも第三話で可憐が同級生と判明した時「そんなバカな!僕より年下のはずじゃ!?」と叫んだ主人公は、その直後に同じく同級生と判明した氷上恭子に対しては何のツッコミも入れてません。「航はそういうところに鈍感だからな」と燦緒は言ってますがそういう問題じゃないだろ。燦緒が主人公と同級生で、さらにその妹の氷上恭子も主人公と同級生というのはどういうことなのか。実は腹違いの兄妹だから同じ歳、とかだったら仲が悪いのも納得だし、それでも結局は兄の言いなりになってしまう氷上恭子ってのもイイ感じですが、そんな話でいいんだろうか。
 この回を観てる途中で、実は燦緒は主人公の腹違いの兄で(そればっか)、海神家の財産を狙って現れた妾腹の子ではないかと考えたのですが(根拠はない)、それで氷上恭子が妹となると、それこそ『聖闘士星矢』ばりに主要登場人物全員が兄弟ということになってしまいさすがに無茶な気もします。いまさら13人兄妹が15人になろうと無茶には変わりないとも言えますが。
 財産などと言っても、そもそも海神家とはどういう家柄なのかなど、例によって一切説明がないので不明です。まあ作り手としてはじいやがいるという時点で半ばギャグとしての大金持ちという設定は説明したつもりなんでしょうけど。
 それ以前に主人公の家族構成ですが、これも作中では不明、しかしスターチャイルドのサイトを見てビックリ。なんと父親はゲームと同じく外交官(健在)、そして母親はいないという設定がここに書いてあります。ただし、メディアワークステレ東のサイトではこんな設定は確認できません。スタチャは関連サイトの中では一番オフィシャルから縁遠いというか無責任な立場なので、単に担当者がゲームと混同して書いたという可能性も考えられます(ゲームでも母親は死んでないけど)。外交官にしては金がありすぎる気もしますが、もともと家が金持ちな外交官という説明も成り立たないこともない。
 結局、異母兄妹という設定が「有り」なのかどうかがポイントだと思います。「有り」なら設定上のつじつまを合わせるのは簡単ですが、「無し」なら絶望的ですね。個人的には後者であってほしいです。つじつまもクソも結局何もわからないまま終わる、というのが一番良いのではないかと。大金持ちの父親があちこちの女に産ませた12人の妹達って、矛盾もなく相対的に最も現実味のある設定かもしれませんが(主人公の母親は死んでるわけだし)、あまりにも生々しくてイヤというか、今まで痛快娯楽作品としてやってきたこのシリーズの幕切れとしてはふさわしくない気がします。例の麦藁帽子の件もあるし。…まあ、あまりにも情報が虚実錯綜しているので、これ以上の予想はしません。
 今回はちょっと理屈っぽい話になりました(つーか全然各話解説じゃないです)が、これが私本来の持ち味だったりします。たぶん。あまり笑えなくて申し訳ないです。

第二十四話 『さよならの予感』

 話が全く進んでないんですが…。

第二十五話 『あいたい…お兄ちゃん』

 妹が寂しがってます。以上。
 何話も使うなよこんな話に。

第二十六話 『約束の島』

 最終回。
 20世紀初頭に分家して以来、常に本家である海神家の後塵を拝してきた山神家。その次期当主である燦緒は、100年来の屈辱を雪ぐべく、海神家へ復讐を企てる。財力を背景に権謀術数を駆使して海神家の次期当主・に接近し、表面上は親友に成りおおせた燦緒はさらに、莫大裏金を費やして第一志望校受験を失敗させることに成功。離島の新設校へと、を文字通り島流しにして、彼の復讐は完全に成功したかに見えた。
 しかし、それらは全て、海神家の未来が全て記された予言書『海神黙示録』の記述に従い、現当主・ポセイドン海神(注・航の父)の指示のもとじいやに与える試練のシナリオ通りの展開だったのである。
 間もなくこれに気づいた燦緒激怒し、異母妹である眞深(注・氷上恭子)をスパイとして送り込み、今度は予言に逆らいを島から追い出すことを試みる。血の繋がった兄妹でありながら燦緒禁断の関係を結んだ眞深(注・氷上恭子)は、異母兄を(そして自分を)嫌悪しながらもその命令に逆らえないのだった。
 しかし、彼らは(そしても)気づいていない。その彼らの行動すら、否、プロミストアイランドそのものが、の試練のため用意された箱庭にすぎないことに。全ては、予言書に記された通り。そして、にとっての試練の最終段階は、12人の異母妹との出会いと、同居生活であった。
 島での生活を通じ、10年前に封印したはずの記憶を少しずつ蘇らせる。予言によれば、彼が島で一年間を過ごしたその時こそ、海神家千年王国の幕開けとなるであろう。
 この予言を知った燦緒は、最後の妨害工作を仕掛けるべく遂に自ら島を訪れるのだった。予言された一年間まで、残された時間はあと僅か――。

 以上、全部ウソです。
 たぶん前の監督が考えてたオチはこんな感じだったんじゃないの?


めでたしめでたし。オシマイ。

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